《事例》
①インターネットで海外のお客さんに自社製品を1,000ドルで掛売りしました。このとき、仲介業者に手数料を1ドル払いました(取引時の為替相場100円)。
②この外貨建の売掛金を決算期末において評価替しました(決算時の為替相場110円)。
その他に、同じような海外取引で、為替差損が15,000円生じています。
ちなみに、細々と事業を始めたばかりなので、消費税はかかりません。
《仕訳》
① 売掛金 99,900円 / 売 上 100,000円
支払手数料 100円
② 為替差損益 15,000円 / 為替差損益 10,000円
売掛金 5,000円
《解説》
上記の①の売上については、売上から支払手数料等の付随費用は引かず、総額で表示します。取引の量的規模を適正に表示するためで、総額主義といいます。これは、同じ利益の会社でも、100億の取引高の会社と100万の取引高の会社では、投資家が投資意思決定をするにあって、全く意味合いが違ってくるからです。
一方、②の為替差損益については、相殺した後の純額で表示すればよいこととなっています。これを純額主義といいます。為替差損益は、経営者がどのように為替相場の変動に対処したかを示すもので、取引量は関係ないからです。
もともと舶来品である複式簿記は、差引の観念よりも、損益項目と貸借項目を両建てして足していき、総額の一致をみる観念が強いようです。これは白人圏の外国特有の志向のようで、海外では、おつりを渡すとき、例えば、もらうべき金額が6セントで、1ドルを受け取ったなら、まず6セントを机に並べ、これにおつりの4セントを足して、10セント=1ドルにして、計算を確かめ、4セントを渡んだと、ものの本に書いてあったのを読んだ気がしますが、本当でしょうか? 僕は海外に行ったことがないので、実際どうだか定かではありません。
吉田こと田中