所有権移転外ファイナンス・リース取引にかかる消費税の仕入税額控除は、「一括控除」が原則であるところ、賃貸借処理を行っている場合には、「分割控除」が容認されることが、11月21日、国税庁の質疑応答事例において明らかにされました。
平成19年度税制改正により、所有権移転外ファイナンス・リース取引(以下、「移転外リース取引」という。)は、平成20年4月1日以後にリース契約を締結したものについて、そのリース取引の目的となる資産の売買(譲渡)があったこととされ、賃借人における消費税の課税仕入れ等の税額の控除の時期は、リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において一括控除することとされておりました。
しかし、「リース取引に関する会計基準」及び「リース取引に関する会計基準の適用指針」において、少額又は短期の移転外リース取引として重要性が乏しい場合には例外的に賃貸借処理が認められ、また「中小企業の会計に関する指針」においては、すべての移転外リース取引について賃貸借処理を行うこともできるとされています。このため、仮に賃貸借処理を採用した場合には消費税法上の取り扱いと乖離が生じることから、実務上は移転外リース取引の消費税の処理については別途調整の会計処理を必要とするなど非常に煩雑な処理を強いられることになっておりました。
このような実務上の煩雑さに配慮する形で、賃借人が賃貸借処理をしている場合において、分割控除を行っても差し支えないとしたものです。
但し、注意していただきたいのは、あくまで原則は「一括控除」であるという点です。「分割控除」は賃貸借処理をした場合の例外的な処理として認められているに過ぎないという点にご留意ください。
なお、質疑応答事例では「仕入税額控除の時期を変更することの可否」、「簡易課税から原則課税に移行した場合等の取扱い」についても言及していますので、詳細は国税庁のHP等で確認してください。
それにしても、今回の変更は実務上の煩雑さに配慮したとのことですが、煩雑になることぐらい十分に予測できたのではないかと思うのは私だけでしょうか。税制改正の検討過程において実務への影響をどこまで考えているのだろうかと疑問に感じるところです。実務への影響等について事前に十分に検討してほしいと願うところです。実務を行うのは徴収側ではなく、経理のご担当者や税務会計のアドバイスをする私どもなのですから・・・・