皆様、こんにちは。
この12月1日、いよいよ新公益法人制度がスタートしました。明治29年以来続いた民法による公益法人制度から、第三者委員会による公益認定を軸とする新制度へのドラスティックな変革が注目されるところです。・・・が、多くの法人はまだ他法人の動向をにらみながら様子見の模様。先陣を切るメリットは少ないので仕方ないのかもしれませんが。
さて、今回は収支相償に引き続き、公益認定基準の要の2つめ、公益目的事業比率についてです。
公益法人を名乗る以上、認定申請時だけでなく、認定後も公益目的事業比率を50%以上に維持することが要請されています。この比率は、収入ではなく事業の実施費用により、次のように計算します。
①公益実施費用額/(①公益実施費用額+②収益等実施費用額+③管理運営費用額)≧50%
①=当該事業年度の損益計算書に計上すべき公益目的事業に係る事業費の額
②= 〃 公益事業等に係る事業費の額
③= 〃 管理費の額
公益目的事業比率の計算に当たっては、特定費用準備資金への繰入れも費用とみなして取り扱うこととしています。特定費用準備資金とは、将来の特定の事業費、管理費に特別に支出するために積み立てる資金で、新規事業の開始、既存事業の拡大、数年周期で開催するイベントや記念事業等の費用が対象となります。特定費用準備資金を取り崩した時には、取崩しは費用額の減算や収入とみなすこととなります。
特定費用準備資金への繰入れについては、次の要件をすべて満たしていなければなりません(公益法人認定法施行規則第18 条第3項、公益認定等ガイドラインⅠ7.(5)②)。
① 資金の目的である活動を行うことが見込まれること。
② 資金の目的毎に他の資金と明確に区分して管理され、貸借対照表の特定資産に計上していること。
③ 資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること又は目的外で取り崩す場合に理事会の決議を要するなど特別の手続きが定められていること。(目的外取崩しの特別な手続とは、例えば定款に「特定費用準備資金の管理は別途、理事会で定める手続による」と定め、目的外取崩しは理事会決議に委ねるということが考えられます。)
④ 積立限度額が合理的に算定されていること。
⑤ 特別の手続きの定め、積立限度額、その算定根拠について事業報告に準じた備置き、閲覧等の措置が講じられていること。
例えば予備費等、将来の一般的な備えや資金繰りのために保有している資金は上記の要件を満たさないため、該当しません。将来の収支の変動に備えて法人が自主的に積み立てる資金(基金)については、過去の実績や事業環境の見通しを踏まえて、活動見込みや限度額の見積もりが可能など要件を満たす限りで特定費用準備資金を用いることができます。
なお、一事業年度の特定費用準備資金への繰入額は計画に定めた積立限度額の範囲内であれば、特に制限はありません。ただし収支相償の計算においては収益事業等の利益の50%超を公益目的事業財産に繰入れる場合には、積立て期間内で計画的に積立てる計算が必要になりますのでご注意ください(公益認定等ガイドラインⅠ5.(3)②(注))。