特例財団法人が最初の評議員を選任するには、旧主務官庁の認可を受けて理事が定めるところによることとされています(整備法第92条)。
そのため、特例財団法人が認定又は認可の申請をする前に(新制度上の)評議員を置く事とする場合には、理事が定め、旧主務官庁の認可を受けた「選任方法」に従って(新制度上の)評議員を選任することとなります。
また、特例財団法人が移行期間中に(新制度上の)評議員を置かず、移行と同時に(新制度上の)評議員を置く事とする場合には、理事が定め、旧主務官庁の認可を受けた「選任方法」に従って(新制度上の)評議員候補者を選び、定款の変更の案(整備法102条)に当該候補者の氏名を「最初の評議員」として直接記載する方法で(新制度上の)評議員を移行と同時に選任することが出来ます。
この評議員選定の考え方ですが、新制度(一般社団・財団法人法)における評議員は、一般財団法人の運営がその目的から逸脱していないかを監督する重要な立場にあります。
すなわち新制度においては、財団法人の運営の適正を確保するために、「評議員」の資格を有している者に対し評議員会の議決権を与え、理事、監事、会計監査人の選解任権、報酬等の決定権を与えて役員等の人事権を独占させた上、決算の承認、定款の変更など法人運営における重要事項の最終的な意思決定権も付与しています。さらに評議員には、理事の違法行為の差止請求権、役員等の解任の訴えの提訴権など法人の適切な業務運営を確保するための種々の権利も付与されています。
そのため、新制度においては、評議員が人事権等の重要な権利を適切に行使することにより、初めて一般財団法人の適切な運営が確保される仕組みとなっており、税制上の優遇措置を受ける事となる公益財団法人の業務運営が公正に行なわれるためには、広範で強い権限を付与されている評議員の人選が非常に重要となります。公益財団法人の運営が、特定の団体や勢力の利益に偏るおそれがなく、不特定かつ多数の者の利益のために適正かつ公正に行なわれるためには、評議員の人選に際しては、一般的な法人の業務運営に一定の知見を有しているだけでなく、当該法人の運営の公正さに疑いを生じさせない立場にあることも強く期待されます。
さらに、新制度においては、評議員は広範かつ強大な権限を有するだけでなく、4年間の任期が保障されており、自らの意思で辞任しない限りは原則としてその地位を失う事は無いないなど、その独立性も強く保障されています。
以上のように認定を受けて公益財団法人に移行する特例財団法人が新制度上の評議員の選任方法をきめる場合には、当該法人と相互に密接な関係にある者ばかりが評議員に選任されることのないようにする必要があります。
「最初の評議員」の人選が特定の団体や勢力の利益に偏った方法でされた場合には、当該公益財団法人の事業が行なわれるに当り、当該特定の団体や勢力に対し特別の利益が与えられるおそれが高いものともなりかねません(公益法人認定法第5条第3号等参照)。そのため、最初の評議員を選任する際には、そのための任意の機関として、中立的な立場にある者が参加する機関を設置し、この機関の決定に従って(最初の)評議員を選任する事が望ましいといえます。
By関西人