1.定義
特定費用準備資金(公益法人認定法施行規則第18 条、公益認定等ガイドラインⅠ7.(5))とは、将来の特定の事業費、管理費に充てるため、法人の任意で積み立てる資金で、貸借対照表上の特定資産として計上します。資金の目的となる事業の種類は問いませんが、一定の要件を満たすとともに事業毎に積み立てる必要があります(公益法人認定法施行規則第18 条第3項、公益認定党委員会 FAQ Ⅴ-3-④参照)。
2.公益認定基準との関係
特定費用準備資金は次の各認定基準等と関係があります。
・ 収支相償((公益法人認定法第5条第6号、同法第14 条、公益認定等ガイドラインⅠ5.、問Ⅴ-2-④参照)
公益目的事業に係る特定費用準備資金に積立てた金額がある場合には、その積立て額を収支相償の計算上は費用とみなして、事業に関する費用の額に加算します。収益事業等の利益の50%を公益目的事業財産に繰入れる場合には、目的に沿った積立ては必要ですが、積立て期間内に計画的に積立てる計算までは必要ありません。
・ 公益目的事業比率(公益法人認定法第5条第8号、同法第15 条)
特定費用準備資金に繰入れた金額がある場合には、その繰入額を費用とみなして事業等の区分に応じてそれぞれの経常費用に加算します。
・ 遊休財産(公益法人認定法第5条第9号、同法第16 条、公益法人認定法施行規則第21 条第3号、同第22 条第3項第4号)
公益目的事業に係る特定費用準備資金に繰入れた金額がある場合には、その繰入額を費用とみなし、遊休財産額の上限額である一年分の公益目的事業費相当額に加算します。
4.立法趣旨
将来、費用として支出することが予定されていることから、公益目的事業比率の算定上、前倒し的に積立額をみなし費用として算入することが可能なほか、資金の使途が具体的に定まっていることから遊休財産額から除外されます。これが立法趣旨と言えるでしょう。
5.要件
特定費用準備資金は、公益目的事業比率計算において事業費に算入され、遊休財産計算上、遊休財産からの控除額とすることができるものです。事業費への算入には、以下の要件を満たす必要があります。ここでの特定費用準備資金に係る要件は、遊休財産額の対象から除外される特定の財産の取得、改良に充てるための資金に準用されています。
① 当該資金の目的である活動を行うことが見込まれること。
② 他の資金と明確に区分して管理されていること
③ 当該資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること又は当該場合以外の取崩しについて特別の手続きが定められていること。
④ 積立限度額が合理的に算定されていること。
⑤ 上記④の定め並びに積立限度額及びその算定の根拠について、備置き及び閲覧等の措置が講じられていること。
(1) 将来の特定の活動及び見込みの意義
・将来の特定の活動とその見込みについては、活動の内容及び時期が費用として擬制できる程度に具体的なものであることを要します。時期については、見通しが立つ限りにおいて特段の制約はなく、単年度である必要もありません。法人の規模、実績等に比して実現の見込みが低い事業や実施までに例えば10 年の長期を超えるような事業は、積立て対象として適当ではないとされています。繰越金、予備費等、将来の単なる備えとして積み立てる場合は本要件を満たさないとされています。
・公益目的事業費に算入した場合の当該特定の活動の公益目的事業性については、変更の認定等を要する可能性があります。
(2) 特別に支出する費用の意義
・特定費用準備資金の制度が、法人の選択により、その事業規模の平準化を図るところにあることから、毎年定常的に行っている活動の通常の事業規模を賄うための費用は対象とはなりません。
(3) 資金の区分管理や他目的への流用制限の意義
・資金の管理、使用についての透明性確保のため、目的、取崩の要件等を定めた特定資産として計上されることを要します。
(4) 特定費用準備資金の計算書類上の表示方法
「他の資金と明確に区分して管理されて」おり、「目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること又は取崩しについて特別の手続が定められていること」(同第3号)との関係において、当該資金は、貸借対照表、財産目録上は、資金単位で適宜の名称を付した上(例:○○事業実施積立資産)、目的、取崩しの要件等を定めた貸借対照表上の特定資産として計上されることを要します。
以上がガイドラインに沿った特定費用準備資産の概要です。
6.私見
要するに、どうしても公益法人が必要とする資金であれば、収支相償の原則、公益目的事業比率の計算、遊休財産の計算上もちゃんと考慮しますということと考えられます。特定費用準備資金の規定がなければ、民法34条に基づくほとんどの現行の公益法人は、公益認定は無理でしょう。
ただし、現場では、公益認定を受けるために無理やり特定費用準備資金を作り上げてしまおうという法人、それを指導するコンサルタントも多いようです。今の公益法人に対する世論が今後の公益法人認定維持に反映されるとするならば、取ってつけたような、そのような対応で公益認定を受けても、その後の維持が大変になるかもしれません。
「特に、公益法人は、公益性の判断基準が不明確であり、営利法人類似の法人や共益的な法人が主務大臣の許可によって多数設立され、税制上の優遇措置や行政の委託、補助金、天下りの受け皿等について様々な批判、指摘を受けるに至っている。」
これが公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針の平成15年(もう5年も経ちますが、このときの総理大臣は小泉純一郎さんです)に行われた閣議決定の一部です。公益法人改革の理由です。この一文の重みは、夕刊紙の読者ならばお分かりでしょう。
7.最後に近況のご報告
とにかく金欠です。私の投資(投機=投棄)は株と投資信託がほとんどなのですが、今は目も当てられない状態です(平成20年10月9日現在 サブプライム問題以降現在まで、そしてまた経済が元通りになるまではこの悲惨な状況を一生覚えておきます)。まもなく含み損が50%を超えます。
お客様には絶対会社の金での投資は勧めません。相談があっても、「止めてください。儲けたかったら本業で儲けてください」とご助言してきました。
それは個人としての投資の失敗と監査法人時代に見てきたエクセレントカンパニーは、余剰資金は事業の投資に回し、株等には手を出していないという事例を数多く見てきたからです。
株にプロはいません。金融工学を駆使した仕組債で大儲けしていたアメリカの証券会社が現在どうなっているかを見てもわかるはずです。
どうしても株や投資信託に手を出したければ、ドルコスト平均法による投資をお勧めします。やり方は簡単で、定期的に決まった金額を購入していくことによって、資産を積み上げていきます。なぜこの方法が良いかというと、(投資信託であれば)基準価額が上がっていると少ない口数、下がっていると多い口数が買い付けられ、安いときに平均するとたくさん買うことになるからです。
長期型の投資ポジションを取ることになります。毎月一定額投資して買いつけますので、相場の情報をそれほど気にしなくていい点、毎月一定額給料から差っ引かれるので、冗費に使わなくて済むこと、ある日気づいたら結構貯まっているという事態がとてもうれしいのです。
今から始めれば、相場が下がった時には「今はいっぱい購入できてるな」と考え、相場が上がっているときは「含み益はいくらかな。うふふ」と考えることができるのです。始めるのは早ければ早いほどいいはずです。今後20年働くつもりならば、月々5万円として1,200万円投資できます。ネット銀行の定期預金で金利1%、めんどくさがりの人は普通預金に預けっぱなしでしょうから、金利0.2%でほったらかし、なんとなく5万円ぐらい毎月使ってしまうから、この金利部分でさえ無でしょう。要はドルコスト平均法で積み立てて、その時の金利より解約・売却時のリターンが上回っていれば勝ちなのです。どう転んでも1%は越えられそうだと思えませんか。投資はもちろん自己責任ですが、始めてから20年もあればどこかで1%は上回るでしょう。早死にしない限り、必ず勝てると思います。と自己責任で私は考えています。自己責任で考えているだけなので、皆さんが投資でドルコスト平均法を採用したとしても成功する保証はしていませんので悪しからず。
あと20年くらいは働くつもりなので、私もドルコスト平均法で投資を始めようと思います。個別銘柄を1単位で買っては損して痛い思いばかりしてきたので、個別銘柄の市場でのスポット買いはもうしません。今始めれば、儲かりそうですよね。日経平均だって、まさか5000円にはならないでしょう(と考えて本当に5000円を切る場合もあります。株にはプロはいません。(ここまで書いて日経平均を確認したら8,276円まで下落しました。平成20年10月12日現在))。とにかくドルコスト平均法を個別銘柄で行うとしたら、倒産リスクだけはちゃんと見極める必要があります。