5月から6月にかけて3月決算法人の株主総会が多数行なわれたと思いますが、
その株主総会で新しく役員に就任された方、または退任された方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、退職所得の源泉徴収についてまとめてみたいと思います。
まず原則は、
源泉徴収税額=(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2×税率
となります。
ただし、この計算式を使えるのは、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合で、
この「申告書」を提出していないと、
源泉徴収税額=退職所得等の収入金額×20%
となります(確定申告をすれば原則の計算式により税額計算をして還付等受けることができます)。
※「退職所得の受給に関する申告書」は退職手当の支給を受ける人が、
支払者を経由して所轄税務署長に提出することになっていますが、
税務署長から特に提出を求められた場合を除いては、支払者が保管しておくだけでOKです。
次に退職所得控除額の求め方ですが、この退職所得控除額は勤続年数をベースに計算します。
勤続年数が20年以下・・・40万円×勤続年数(最低80万円)
勤続年数が20年超・・・・800万円+70万円×(勤続年数-20年)
と、ここまでは皆さんご存知かと思いますが、では次にちょっと複雑な場合を想定してみましょう。
例えば、A社とB社2つの会社の役員をしていて、
A社とB社の勤続年数が重複している場合はどうなるのでしょう?
A社 =================> 退職金
B社======================>退職金
このような場合まず、
① 平成20年B社の退職金の支払いを受けたという設定ですが、
A社の退職金の支払いを受けたのが平成19年以前4年以内でなければ(平成16年~19年の間)、
つまりA社を退職し退職金の支払いを受けたのが、平成15年以前であれば、A社の期間については
何も考慮する必要はありません。
次に
② A社を平成16年から19年の間に退職し、退職金の支払いを受けていた場合、
(ⅰ) B社の勤続年数(1年未満切上)による退職所得控除額
(ⅱ) A社とB社の重複している期間の年数(1年未満切捨)による退職所得控除額
(ⅲ) (ⅰ)-(ⅱ)=B社の退職金から控除する退職所得控除額
このようにして、B社の退職金から控除する退職所得控除額を計算し、税額を求めます。
ちなみに、住民税の計算式は下記の通りとなります。
住民税=(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2×住民税の税率×0.9
(by atti)