今日は18年の税制改正項目のうち、もっとも身近な経費である、交際費についてお話します!平成18年度税制改正で交際費課税制度に設けられた「5,000円以下飲食費の損金算入制度」が、19年3月決算法人の申告から適用されることになります。
今まで、法人税法上は、交際費等は、原則損金の額に算入されず、課税対象とされていました。ただし、期末の資本等の金額が1億円以下の企業は支出した交際費等の金額のうち一定の金額が損金不算入とされ、残額は損金の額に今までも算入されていました。
この改正により、社外の者との飲食費について5,000円という基準が明示され、金額での判断は明確になりました。しかし、財務省令で規定された一定事項を記載した書類の保存が損金算入の要件となることから、本制度を適用して飲食費を交際費から除外するには、今まで以上により適正な処理が必要となったといえます。1人当たり5,000円以下の飲食費を交際費から除く、というのは、単なる目安ではなく、法令で損金算入条件が規定された制度であることを認識して対応する必要があります。
● 租税特別措置法施行規則21条の18の2 〈交際費等の損金不算入〉
一 当該飲食等のあつた年月日
二 当該飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
三 当該飲食等に参加した者の数
四 当該費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称
五 その他参考となるべき事項
この制度が交際費課税に設けられたことにより、交際費の税務調査では、1人当たり5,000円以下とするために、人数が正しいものであるか、相手先を偽っていないかなどが確認されると考えられます。ちなみに、これらの行為があった場合は、事実の仮想隠蔽ということになるので重加算税の対象となってきます。5,000円以下は全て損金算入できる(交際費課税から除かれる)のではなく、記載条件を満たしているものだけが損金算入できる(交際費課税から除かれる)のである、ということを社内の各部門において認識してもらう必要があります。相手先名など記載できなければ、たとえ5,000円以下、3,000円以下であっても法人税法上、損金に算入できない(交際費として課税される)いうことになります。
納税者有利の分、書類の保存がいっそう厳しくなるということですね。しかし、前向きにとらえれば、最初は経理負担となりますが、きちんと書類を保存・完備すれば、ムダな経費の見直しもできるので、仮払いの精算など、制度を整えるいい機会かもしれません。 (tomo)