A社長が秋子のもとへ相談にやってきました。
社長)H26分類似業種比準価額が公表されたそうだね。うちのような中小企業で同族しか株を持っていないような会社だと、株価があがると聞いたのだが…。それが、私が持っている自社の株を息子に渡して、そろそろ経営からも退くつもりでいるのだよ。
秋子)そうですか。まず、御社の場合の株価は、どうやって計算されるのかをお話ししますね。非上場会社の株式は、会社の規模や株主構成等をふまえて、その会社に合った方法により計算されます。
社長から息子様へということは、同族株主が株を取得することになりますので、類似業種比準価額方式と純資産価額方式という2つの計算方法によって評価していきます。どのようにその2つの計算方法を使うかと言いますと、会社の規模によってその2つの方法を使う割合が変わります。
社長)ほぅ!会社の規模は資本金で判定となるのかな。
秋子)株評価の場合の会社規模の判定は、従業員数、取引金額、総資産の価額によって判定し、大会社、中会社、小会社に分けます。
規模が大きくなるほど、類似業種比準価額方式で計算する割合が大きくなります。というのも、類似業種比準価額は、同業種の上場会社の株価を基準に計算していく方法です。規模の大きな会社ほど、上場会社に近い会社となることから、類似業種比準価額方式で計算する割合が大きくなっているというわけです。
社長がおっしゃっている、先般公表された類似業種比準価額は、上場会社の株価を基準に算定された株価だけでなく、その他計算で使う3つの要素の値があります。類似業種比準価額は、合計4つの値を使って計算していきます。
社長)なるほど。しかし、規模の大きな会社ほど類似業種比準価額で計算となれば、うちの会社は取引金額も大きくないし、類似業種比準価額が上昇したといっても、そんなに影響はなさそうだな。
秋子)社長の会社の従業員は何名いらっしゃいますか。
社長)そうだな、ざっと150人くらいかな。ただ、あまり業績が芳しくないのだよ。
秋子)社長、従業員が100名以上の場合は、取引金額や総資産価額に関わらず、大会社となりますよ。
社長)ということは、やはり、類似業種比準価額が上昇すると、うちの会社の株もあがるということかね?
秋子)そうですね。7月に公表されたH26分の類似業種比準価額ですが、ごく一部を除いて上昇しているようですね。しかも株価は、前年に比べて、ほとんどの業種が130%以上という急激な上昇をしています。日経平均株価も乱高下してはいますが、今年の1月平均と6月平均を比べると、1.5倍になっているそうですので、130%の上昇も納得がいきますよね。
社長)そうだな。そうするとうちの会社の株価も130%以上上昇するということかね?
秋子)単純にそうとはなりません。先にも4つの値を使って計算するとお話ししましたが、この類似業種比準価額方式は、類似業種の株価を基準に、利益、配当、純資産価額の3つの要素を、自社と比べて計算していきます。なので、単純に類似業種比準価額があがったからといって、御社の株価があがるというわけではないのです。
社長)そうか。
秋子)それと、もう1つ!類似業種比準価額は、前年度の平均株価と今年度の株価と、低い方の株価で計算することができますよ。
社長)いろいろ複雑に計算するのだね。一度計算してもらえるかな。
秋子)そうですね。事業承継は、明日することに決めたので、明日する…そういうわけにはいかないですから。長い目で考えていかなければなりません。それに、株価を引き下げる方法もあるので、どの方法が御社にとって有効か、またいつ行うべきかなども一緒に考えていきましょう。
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