平成22年度税制改正大綱が、平成21年12月22日に公表されました。
新聞各紙に改正案の概要が掲載されましたので、ご確認された方も多いかと思います。
今回は、住宅を購入する際の資金援助に係る税制改正案について確認してみましょう。
《 住宅取得等資金の贈与に係る改正案 》
(1)住宅取得等資金の贈与の非課税措置に係る改正案
《 改正内容 》
直系尊属(父母・祖父母など)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置ついて、非課税限度額(現行500万円)が次のように引き上がります。
①平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた場合 1,500万円
②平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた場合 1,000万円
(注)贈与を受けた者の贈与年の合計所得金額が2,000万円以下である場合に限ります。なお、適用期限は平成23年12月31日までになります。
〔 この特例のメリット 〕
①この特例は、子供への贈与だけでなく、孫への贈与についても適用できます。
(相続時精算課税制度では、孫への贈与については適用できません。)
②この特例の非課税制度の適用を受けた金額は、相続税の課税価格に加算する必要がありません。つまり、相続税の計算に影響しないという点がメリットになります。
(相続時精算課税制度では、適用を受けた金額を相続税の課税価格に加算して計算します。)
③暦年課税や相続時精算課税制度との併用ができます。
この特例の非課税限度額を超える部分について、暦年課税の基礎控除(110万円)や相続時精算課税制度の特別控除を適用することができます。
(2)住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度(3,500万円)に係る改正案
《 改正内容 》
特別控除の上乗せ(現行1,000万円)の特例を廃止し、年齢要件の特例の適用期限を2年延長します。
つまり、特別控除額は2,500万円で、適用期限は平成23年12月31日までになります。
〔 この特例のメリット 〕
通常の「相続時精算課税制度」は、親の年齢が贈与のあった年の1月1日時点で65歳以上の場合に限られますが、「住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度」であれば親の年齢制限がありません。
親の年齢が65歳未満の場合において、上記(1)の住宅取得等資金の贈与の非課税限度額を超えた部分については、「住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度」を併用して適用することが考えられます。
ただし、相続時精算課税制度の適用に際しては、次の点にご注意してください。
①孫への贈与には適用できません。
②相続の際には、相続時精算課税制度の適用を受けた金額は、相続税の課税価格に加算して相続税を計算することになります。
③相続時精算課税制度を適用した贈与者からのその後の贈与については、暦年課税(非課税枠110万円)の制度に戻ることはできません。
住宅を購入する際の資金援助については、複数の選択肢がありますので、将来の相続対策を踏まえた上で検討することがとても大切になってきます。
問い合わせ先:0120-944-733
事業財産承継部 樋口
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