このブログは、企業経営にまつわる様々な事柄についてコンサルタントが日々現場で悩み考えていることを分かり易くご紹介していきます。決算書の読み方・経営分析の手法から経営理念、経営計画の作り方・進め方などお役立ち情報満載です!
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企業には質的に異なる2つの社会的責任があります。第1に自らの活動によって生まれたもの、第2に自らの活動とは関わりなく社会にあるものです。こうした責任に企業が対応していく際に、念頭に置くべきなのが、社会的責任を「機会」に変えるということです。
責任を機会に変える
企業が起こした社会的責任(前節の第1の責任)に対処するには、
① 悪影響を見極める
② 悪影響の原因となっている活動を特定する
③ その活動を取りやめる
これが最も効果的な手法になります。
しかし、通常、企業の活動は中止できません。そこで、悪影響を取り除くその行為を、事業機会に変えるよう仕向けます。これは、企業にとって最も理想的な責任対処法といえるでしょう。
例えば、大気汚染を招いた企業が、大気汚染を緩和する技術を開発し市場を獲得するなどはその一例です。
社会的責任は回避できません。とすれば、責任を前向きに捉えることの重要性がわかると思います。
社会問題と対時する
社会自体の問題に対する企業の責任については、社会的問題は企業の経営者からすると「挑戦」であり「機会の大きな源泉」です。社会問題を解決することは、すなわち社会的 イノベーションを意味するからです。よって、これはまさに、企業の社会的責任とイノベーション、双方を満足させる活動なのです。
技術の社会的評価と監視
新技術を社会に導入する場合、新しい技術が社会にどのような影響を及ぼすか見極めることが不可欠になる。これをテクノロジー・アセスメントと呼びます。また、新たな技術が社会に導入された後では、テクノロジーモニタリング(技術監視)が不可欠になります。これらも、企業の社会的責任の一環として行うべき活動です。
今後、知識社会の到来により、2010~20年にかけて、極めて大きな社会変化が起こると予測されています。こうした急激な変化に対応するには、自らが変革の担い手にならなければなりません。
社会の大変化はこれから
社会が知識社会へ転換し始めたのは第二次世界大戦直後のことだと、言われています。したがって、知識社会への変化は、まだ始まって50年ほどしか経っていません。そして、この転換における社会への本当の影響は、2010年~20年にかけて起こるとするのが、最先端の経済学者達の主張です。
こうした社会変化に対応していくには、自らが変革の担い手、すなわちチェンジ・リーダーにならなければなりません。
チェンジ・リーダーになるために
チェンジ・リーダーになるための条件として、カイゼン活動、開発活動、イノベーション活動が不可欠だと説きます。
従来の組織は継続を目的にしてきました。一方で、これからの組織は、変化を目的としなければなりません。
またこうした社会では、変化もめまぐるしく、誰もが成功するのは非常に困難になります。つまり、競争環境が-段と激しさを増すと考えて差し支えないでしょう。来る社会は、組織にとっても人間一人ひとりにとっても高度に競争的な社会になるでしょう。いえ、そうした社会がすでに到来しているといってもよいでしょう。
知識社会におけるマネジメントでは、その主人公たる知識労働者をいかにマネジメントするかが課題になります。そのため今後、責任型組織の必要性がさらに高まることになるでしょう。
知識労働者の特徴
資本社会から知識社会へ-極めて専門的な知識を有する知識労働者が知識社会の主役に躍り出ることで、知識が企業の資源の中核になりました。これが資本社会から知識社会への移行と言われています。
知識社会の中核たる知的労働者の特徴は、①知識を自分の中に所有している、②知識は持ち運び自由である、という2点にあります。
その結果、知識労働者は、専門的な知識を持って、ある組織から別の組織へ簡単に移動できるという特徴を持ちます。
したがって、企業が知識労働者を資源として活用しようと思えば、知識労働者の中にある知識を効率的かつ最大限に引き出すのと同時に、他の場所に移動しないよう企業に定着させること、これらが重要な課題になります。
知識労働者の生産性を高めるために
知識労働者の生産性を向上するには、以下に示す取り組みが欠かせません。これらの取り組みは「過去」のことではなく、「今日または明日」に関することなのです。
① 組織が何をしようとしているのかを明確にする
② 責任を与えられ、かつ自己実現する
③ 継続学習と継続訓練の機会を与える
④ 敬意を払う。特に知識労働者が持つ専門分野に敬意を払う
⑤ その専門分野では、知識労働者自らが決定を行う
責任を持たせるための方法
労働者に責任を持たせる方法として、①人の正しい配置、②仕事の高い基準、③自己管理に必要な情報、④マネジメント的視点を持たせるための参画の機会があげられます。
以前お話したように、マネジメントの課題には大きく3つあり、その1つが「仕事の生産性を上げて、働く人を活かす」ことでした。生産性の向上の最大のポイントは「責任」を前提にした労働にあります。
「仕事」を対象にした生産性向上活動
生産性向上のためのマネジメントでは「課題としての仕事」と「人の活動としての労働」の双方を対象にしなければなりません。
課題としての仕事を理解し、生産性を上げるには、
① 仕事の分析(作業と作業の順序を知る)
② プロセスへの統合(生産工程として編成する)
③ 管理手段の組み込み(工程の中に管理手段を組み込む)
④ 適切な道具の付与
これらが不可欠になります。
「労働」を対象にした生産性向上活動
一方で、人の活動としての労働を促し、生産性を上げる手法も欠かせません。これに対しては、「責任」を前提条件とした労働環境の構築を提唱したいと思います。これは、労働者が自分の職務に責任を持ち、働く者が主体的に成果を上げることを目的にするものです。
とはいえ、労働者が自ら責任を果たそうとするには、条件の整備が不可欠です。そのための条件として、
①生産的な仕事の設計
②自身の成績に対するフィードバック
③継続学習の機会
これらの整備があげられます。
加えて、職務と収入の保証で、働く者が主体的に成果を上げることを促そうとします。
X理論とY理論
ダグラス・マグレガーが提示した、労働者に対する2種類の考え。X理論は、人間を怠惰で仕事嫌いと考えます。一方、Y理論は、人間は本来仕事を通した達成感を欲しているという立場をとります。この2つの理論を統括するのが「責任」を前提としたマネジメントなのです。
今日、知的労働者と言という言葉が浸透してきました。これは、従来の肉体労働者に対比されるもので、「手を使って働くことをやめ、そのかわりに観念、概念、あるいは理論を持って働く」人々のことを指します。
産業革命から出発し、現代社会に至った経緯を知識を中心要素としてたどって見ましょう。
社会は、技能に知識を活かした時代(産業革命、技能の体系化によるテクノロジーの誕生)、肉体労働に知識を活用した時代(生産性革命、テーラーの科学的管理法が誕生)、知識労働に知識を活用する時代(マネジメント革命/知識社会)という経緯をたどってきたと言えます。
知識社会におけるマネジメント
したがって、現代社会で生産性を上げるということは、専門的な知識を有する知識労働者の生産性向上が不可欠になります。いわば「知識労働のマネジメント」が不可欠になるのです。
現在、この課題は、より切実なテーマとしてクローズアップされているといえるでしょう。知識労働者の生産性を以下にして上げるかが大きな課題となってきています。
前節で見たイノベーションの機会を見逃さぬよう、組織に適切な仕組みを組み込まなければなりません。「体系的廃棄」と呼ぶ仕組みです。これを組織に組み込むことがイノベーション戦略の基本になります。
計画的・体系的に廃棄する
イノベーションを具体化するには、「既存のものは古くさくなっている」という仮定のもとに「新しく、違ったもの」を創造していかなければなりません。
そのためには、古くなったものを計画的かつ体系的に廃棄するシステムを組織の中に取り込むことが不可欠になります。体系的廃棄では、具体的には次のような手順をとります。
①現在あるものの改善(カイゼン活動)
②成功しているものについての応用法を考案(開発活動)
③古くなったものを捨て「新しく、違ったもの」を考案(イノベーション活動)
新しいものを考えるために
③のイノベーション活動では、有効でなくなった製品、サービス、プロセス、市場、流通チャネルを体系的に検討します。そして、「いまこれがないと仮定した上で、それでもこれを始めるのか」を問うのです。答が否ならば、その製品やサービス、プロセスは即刻取りやめて、「新しく、違ったもの」を考えるのです。
イノベーション的な企業を目指すために、こうした体系的廃棄の仕組みを組織に根付かせるのも、トップ・マネジメントの責務です。
ドラッカーは、「企業の基本機能はマーケテイングとイノベーションである」と言っています。イノベーションを起こしやすい企業風土を作るのもトップ・マネジメントの使命です。
イノベーションの意味を知る
イノベーションは、単に技術的発明を意味するのではありません。イノベーションは「市場に焦点を合わせた革新的な価値」のことです。 革新的な企業は、イノベーションが持つ上記の意味をよく理解しています。そうした組織は、イノベーションを発見するコツのようなものを体得していると、ドラッカーは指摘しています。すなわち、イノベーションは偶然やってくるものではなく、イノベーションを発見する機会を組織自体が理解しているということが特徴です。
ノベーションを発見する機会を知る
イノベーションの発見には、特徴的な機会があります。
第1に、需要が増大しているのに収益が伸びないときです。こういうケースでは、製法、工程、製品、流通チャネルなどにおける一大革新が成功を生む可能性が高まります。
第2に、経済や市場の水準が雑多で、その間に大きな格差があるときです。
そして第3に、すでに起こっている未来、すなわち人口動態などを見極めることです。こうすることで、将来に対して、適切な手を打つことができます。
最後に、革新のための革新です。最も野心的な企業家が世の中を変えてしまおうと目論むときです。
普段コンサルティングの現場で思うことのひとつに、「どんなにメイン商品であてっても、採算があっていないのなら、即刻やめてほしい」がある。
とはいうものの、撤退したら携わっている人は解雇しなくてはならないし、売上が下がれば、銀行には成長性なしと見られるという恐怖もある。
そして、一番の問題点は、何の商品で利益が得られているのか、はっきり言って分からない、ということにある。
「全体で見ると、確かに儲かっていない」「なんとなくやっていて、結果として赤字」そんな景色が広がっている。
ここに1つある商品の売上があったときに、費用として、を割り当てればよいのか?
・商品原価
・販促費
・人件費
・家賃
・水道光熱費
・消耗品費
水道光熱費や消耗品費などは、ひと塊にして売上額に応じて賦課(按分)してもよいが、売上原価、販促費、人件費、家賃などは、どの売上を上げるためにかかった費用なのか、しっかりと紐づける必要がある。
まずは膨大な社内データをひっくり返し、この作業をやらないことには始まらない。
さて、それが終わると、 商品別利益が明確になる。このあたりで、経営者は採算が合わない商品を、やめるのか続投するのかやっと判断できることになる。
続投ということになれば、各営業マンには、自分が扱っている商品別利益をまずはトントンにするという目標を与えることになるわけである。(もちろん、エンドを決めて、それまでに黒字転換しなければ撤退だ)
ここで、とても参考になる記事を見つけた。こちらのブログである。
http://www.ymmlaw.jp/cgi-bin/wp/?p=460
ご本人は弁護士先生ということだが、この着眼点を持たれて、日々業務に当たっていただけているとしたら、これほど心強い弁護士さんはいらっしゃらないと思う。
このなかで引用されている記事をこちらにも掲載させていただこう。
ローランド・ベルガー社のパートナーの平井孝志さんがThink!というビジネス雑誌で執筆された記事
販売部門、営業部門に、売上目標を立てるのは愚策である。販売部門や営業部門は、利益を出すための部署であり、利益が出せないのであれば、どんなに売上があっても、営業としては駄目である。営業部門の一人一人に利益目標を与えると、安易な値下げが最も良くないことが営業の現場の人間でもわかるようになる。
一方、生産部門、開発部門が、費用削減を目標にするのも愚策である。そのような目標を立てると、イノベーションが起きなくなる。そして、それどころか、食品の場合、混ぜ物をして、原価を下げようとする。なぜなら、材料費をより下げるしようとする方向に努力が向かうからである。多くの偽装事件が食品業界に生じているのは、食品メーカーの生産部門、開発部門が費用削減を目標にしているからではないか。原価を下げようとすると、混ぜ物、水増し、産地偽装、消費期限切れ商品の再利用が生じる。開発部門は費用を削減して利益確保を目指すのではなく、売れる商品をつくることに専念すべきである。営業部門が「こんな商品売れないよ」と言ったら、開発部門は、素直にそれを認めるべき。「物が売れないのは営業のせい」ではない。これからの時代は、商品が人に与える価値で勝負が決まる。開発が目指すべきは、原価削減による利益確保ではなく、魅力的な商品による売上向上である。
昔のような「作れば売れる」時代は終わった。物の時代から人の時代になったのだから、人を中心に考えなければ駄目だ。その違いは、あたかも、メーカーが作った物(地球)の周りを消費者(太陽)が回っていた天動説の時代から、コペルニクス的転回が起き、消費者(太陽)の周りで物(地球)が回り、生活を育む地動説の時代に移ったようなものである。
前世紀の日本企業は、営業部門に売上目標を、開発部門に利益目標を立てている会社が多かったのではないだろうか。今世紀はそのような目標設定では駄目だ。営業は利益を、開発は売上を目指すべきなのである。
利益志向が”かけ声”だけになっている企業は参考にされてはいかだだろうか。
もちろん、事前に売上と費用の紐づけをせずして、これに取り組むことは許されないが。
前回、前々回では、企業の適性規模や多角化について見てきました。一方、企業の成長を適切に管理するのもトップ・マネジメントの仕事です。成長にも戦略が不可欠になります。
成長は自動的には起こらない
成長は自動的には起こりません。組織が成長するには、「自分がそうなりたいと思っていること」に焦点を合わせ、それに対して「理想的な行動様式を確立すること」が必要になります。 つまり、成長するには戦略が不可欠なのです。トップ・マネジメントは「合理的な成長目標」を設定すると共に、そのための社内準備が必要になるのです。
成長が目的ではない
しかしながら、企業の目的は成長ではありません。マネジメントを考えたときの企業の目的は顧客の創造です。そして、提供した製品が顧客ニーズに合致した結果として利益が得られます。したがって、企業の成長は結果として捉えることが重要です。 ドラッカーは次のような言葉を残しています。「成長は、それが健全なものであるがためには、適切なことを遂行した結果でなければならない。成長それ自体は虚栄でしかないのである。」 ドラッカーのこの言葉には、2006年に失墜した、とあるIT企業の姿が浮かんできます。
トップ自身が成長の阻害要因になることもある
過去の成功体験を持つトップ自身が、成長の阻害要因になることがままあります。さらなる成長に成功するためには、過去の習慣を捨てることが、次の成長につながるからです。その場合、成功体験を持つトップ自身が過去のやり方を捨て、マネジメントのスタイルを変える必要があるのです。
多角化もトップ・マネジメントが行うべき重要な意思決定の1つです。しかし、多角化は万能薬ではありません。また、多角化には成功のためのポイントがあることを知るべきです。
多角化を成功に導くには
組織は本来、明快で単純なものであるべきです。しかし、組織の多角化は、組織の基本設計仕様に反する動きでもあります。
多角化を誘引する要因は、内的要因(①欲求、②規模の適切さ、③コストセンターの収益化)と外的要因(①一国の市場規模、②市場の論理、③技術、④税制、⑤新市場)が考えられます。冒険を冒して多角化を成功させるには、多様性の中に統一の中心となるものを見出さなければなりません。そのためには2つの方法しかありません。
第1に、共通の「市場」のもとに事業や技術、製品を統合する方向です。これは、同一市場に、多角化した異なる事業や技術を投入することを指します。
第2は、共通の「技術」のもとに事業や市場、製品を統合する方向です。こちらは、技術を統一のキーとして、同一の技術で複数の市場を相手にすることを指します。
要するに、共通の市場と共通の技術が、多様性の中に統一を生み出すと、ドラッカーは指摘するわけです。そして、いずれかをテコにして、統一性を生み出すことが、多角化のポイントになるというわけです。
ちなみに、同一市場を対象にした多角化の方が上手くいくケースが多いといわれています。
多角化が失敗に終わるケース
上であげた2つの方法を同時に実行しようとする多角化は、失敗する可能性が高いといわれます。また、相補うという考えから多角化を実行することも、左記2つの方法を考慮に入れていない場合は失敗するでしょう。
さらに、資金需要の大きな事業と資金余裕のある事業を組み合わせたり、多角化のための多角化や、既存事業の弱さを補う多角化も失敗に陥りやすいものです。
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