派遣労働者の労災が、製造業への派遣解禁後に急増していることが、
厚労省の調査により明らかになっています。製造業への派遣が解禁
されたのが2004年3月からですが、その年の被災者は667人。
ところが、2007年には5885人にまで増加しているそうです。
派遣労働者の安全衛生管理体制については、派遣元と派遣先の両方
に責任があるため、責任の所在がわかりにくく、対策が不十分になり
がちです。
特に労災事故を防止するために大切な安全衛生教育を実施する責任
については、
①雇入れ時・・・・・・・・派遣元
②作業内容変更時・・・・・派遣元、派遣先の双方
③危険有害業務就業時・・・派遣先
(ボイラーや一定のクレーン・フォークリフトなどを扱う業務)
となっています。
また、派遣労働者の労働条件の適用について、労働時間・休憩・休日
は基本的に派遣先の規定に従いますが、派遣労働者に変形労働時間制や
フレックスタイム制を適用させたい場合は、派遣元の方で、必要な雇用
契約や就業規則、労使協定を整備しなければいけません。時間外・休日
労働を命じる場合には、命じるのは派遣先であっても、派遣元の方で
36協定を結んで労働基準監督署へ届け出ておく必要があります。
このように、派遣労働者の労務管理については、法令を熟知して、
派遣元と派遣先で適切に対処する必要があります。特に、製造業につい
ては派遣解禁後、急激に派遣労働者の数が増えていますが、それに見合
う十分な管理体制が取られていない状況です。
厚労省ではこのような状況をみて、派遣法改正も視野に入れて検討を
進めており、派遣を利用する企業側としては、派遣労働者の労務管理
対策を、より一層注力する必要がありそうです。
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