3月が過ぎ、多くの会社が決算作業に忙しい日々を送っていることと思います。今回は、会社を組織する機関の内、株主総会についてみていきます。
(1)株主総会での決議
株主総会は、まず法令または定款に定められた事項に限り決議することができます。
会社の最高意思決定機関といわれますが、株主総会の招集は、取締役会が決定します。
定時総会は毎年一回一定の時期に招集することが必要です。株主の権利行使の基準日が総会の3ヵ月以内と決められていますので、決算日後3ヶ月以内に行われます。3月末決算会社であれば、6月下旬に定時株主総会が行われます。なお、必要がある場合に随時、臨時株主総会を招集できます。
株主総会の決議方法には、次の3通りがあります。
①普通決議
総株主の議決権の過半数を有する株主が出席して、その議決権の過半数の賛成が必要です。法令や定款に別段の定めがなければ、普通決議によることになります。取締役の選任決議はこれに当たります。
②特別決議
総株主の議決権の過半数(又は定款に定める議決権の数)を有する株主が出席して、その議決権の2/3以上の多数の賛成が必要です。
特別決議事項としては、定款の変更、取締役・監査役の解任、営業譲渡・合併・株式交換・株式移転・会社分割などの組織再編行為、第三者に対する有利な発行価額による新株発行などです(なお、有限会社の社員総会の特別決議は、総社員の過半数で総社員の3/4以上の同意が必要で、株式会社よりも要件が厳しくなっています。)。
③特殊の決議
総株主の過半数が出席して、総株主の議決権の2/3以上の多数の賛成を得ることが必要です。
定款を変更して、株式の譲渡制限をするためには、この特殊の決議が必要となります。
(2)取締役の解任が普通決議で行われることに
なお、今回の改正で、株式会社の取締役の解任決議の要件は、いままで特別決議だったのが普通決議になりました。
(3)会社の機関は、譲渡制限タイプの中小会社であれば、今までの有限会社と同じようになりました。会社法における株式会社が有限会社法に規定されていた有限会社の機関に近づいた結果となりました。