雇用促進税制(雇用者の数が増加した場合の税額控除)は、平成23年4月1日以降開始事業年度の法人に適用されていた制度ですが、平成25年度の税制改正で控除額の見直し及び基準雇用者数の算定方法の見直しがありましたので、今回はそのご紹介を致します。税額控除額が拡大したり、適用要件が一部緩和しています。
①税額控除限度額が拡大
平成25年4月1日以降開始事業年度より、税額控除限度額が基準雇用者数×40万円(改正前20万円)に引き上げられました。ただし、従来どおりその事業年度の法人税額の10%(中小企業者等の場合20%)相当額を超える場合にはその相当額が控除限度額となります。
※基準雇用者数・・・当期末の雇用者の数から適用年度開始の日の前日の雇用者の数を引いた数
②基準雇用者数の算定方法の見直し
上記①の基準雇用者数の計算等において、高年齢雇用者を前年度末雇用者数から除くこととされました。ここでいう高年齢雇用者とは、雇用保険法で規定されている高年齢継続被保険者のことをいい、「被保険者であって、同一の事業主に65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている者」を指しています。なお今回の改正で除くとされているのは、適用年度の中途で高年齢雇用者になり適用年度末に雇用されている者のことであるため、前年度以前から高年齢雇用者に該当する者は含まれないことになるので注意が必要です。例を見てみましょう。
[例]中小企業者のA社
前年度末 今年度末
年度末雇用者数 40 年度末雇用者数 41
高年齢雇用者数 1 高年齢雇用者数 4
今年度新規に4人採用しましたが、前年度からいた雇用者のうち3人が高年齢雇用者に切り替わった、という場合です。もともと高年齢雇用者が1人います。
改正前であれば、
適用年度末雇用者数41人-前年度末雇用者数40人
=基準雇用者数1人⇒基準雇用者数要件×
改正後は、
適用年度末雇用者数41人-前年度末雇用者数37人(前年度末雇用者数40人-適用年度中途で高年齢雇用者に
切り替わった3人)
=基準雇用者数4人⇒基準雇用者数要件○
もともといた高年齢雇用者1名は前期末雇用者数から除きません。なぜなら前期末の雇用者数に含まれていな
いからです。
今回の改正での変更点は以上になります。その他の用件については従来どおりとなりますので、厚生労働省のHPや国税庁のHPをご覧いただき、自社が適用できるかご確認いただければと思います。